Thunderbirdの日記

桜梅桃李 鏡花水月

ある日の思ひ出 もじ先輩編



もじ君は、いつも同級生とつるんでいた。


話し方がもじもじしてるからもじ君と呼ばれていた。


体格がよく、中学生のころから
大関みたいな貫禄があった。


町内の海水浴場に遊びに行ったときに、
駐車場から砂浜に繋がる下り坂に、
何のための山なのか、土を1mぐらい
盛り上げてるところがあった。


他の先輩が、ぢてんしゃでジャンプして遊んでいた。
ジャンプの距離は短いが、見た目がかっこよかった。


それを海水浴に来てる人達が白い目で見ていた。


何かを勘違いしたもじ君は、フラッシャー付きの
重いぢてんしゃにまたがり、助走距離を長くとって
下り坂で加速し、猛スピードで突っ込んで行った。


そのまま行けば良かったのに、
身体はでかいが気が小さいもじ君は
ジャンプ寸前で、ブレーキをかけてしまった。


上方向に跳ね上がるはずの前輪は、
頂上を越え、下りの急斜面に接地したままになり、
自転車は45度ぐらい前のめりになった。


ますますびびったもじ君は、前ブレーキを
力一杯握りしめた。


後輪が浮き上がり、空中で前転した。


おとろしい光景だった。


そのまま飛んだもじ君は、砂浜に
うつぶせの状態で落ちた。


その背中に自転車が襲いかかり、
サドルが背中に当たった。


グェッと言ったまま砂に埋まっていごかない。


みんな助けるよりも笑うのが忙しかった。


今の時代だったら動画で撮ってユーチューブに
投稿すれば有名になったかもしれない。


もじ君は、「もう少しでジャンプ出来るとだったのに」
と言って引きつりながら笑っていたが、
身体中砂だらけで、口の中が
じゃりじゃりすると言いながら
垂れた鼻水に砂を引っ付けていた。


二重に何かを勘違いしてることが分かった。


もじ君は、同級生といるときに、
私がもじ君と呼ぶと、目をつり上げて
先輩って呼べと言う。


ある日、後輩いじめの度が過ぎたので、
少し説教した。


その日からもじ君って呼んでよかよと言われた。


話せば分かる先輩だということが分かった。