Thunderbirdの日記

桜梅桃李 鏡花水月

ラッキーデー



フランス語で言うと「幸運な日」。


この前酔っ払いになったとき、
時計を外し忘れてシャワーを浴びた。


いつもは200m防水のルミノックスを使ってるので、
シャワーでも風呂でもそのままでいいが、
この時計は、生活防水仕様なので、
ちょっとした水でも入ってしまう。


翌日になって、ガラスの内側が曇っていた。


頭が真っ白になった。



買い換えようにも今は売ってない時計。


一番お気に入りだった。

何とか裏蓋を開けようとしたが、
専用の工具がないと無理だった。


会社の帰りに時計屋さんに電話した。


田舎なので、ロンジンは扱ったことがないと言う。


開けるだけでもいいからと頼んで持って行った。


かなり苦労しながら開けて内部を点検して貰った。


電池のところに微妙にサビがあったので
クリーニングしてパッキンも点検して貰った。


20分ぐらいかかった。


5000円ぐらいかなーと思って財布を出していたら、
お金は要りませんよと言われた。


後光がさしたマリア様に見えた。


1年ぐらい前も同じおねーさん?に
修理して貰った。


そのときも無料だった。


丁寧にありがとうを3回言った。





その後眼鏡屋に行った。


チタンフレームでとても軽く、
くにゃくにゃしても元に戻る眼鏡。


会社でくにゃくにゃしながら、
象が踏んでも壊れないと自慢してたら、
コキッと曲がった。


目が点になった。


恐る恐る元に戻したら
90%折れて、微妙につながっていた。


保証はとっくに切れている。


フレーム代を覚悟して店に入った。


一番優しそうなおねーさんに、
「あの~~何もしてないのに
フレームが折れたんですけど」と言った。


奥から店長が出てきた。


「折れてないかなー」と訂正した。


「気のせいかなー」と続けた。


「・・・」


「お座り下さい」と言われた。


カーペットに長い足が引っかかって
転びそうになった。


まずい展開だと思った。


眉間にしわを寄せて怪訝そうな顔をした。


更に奥からタコ坊主みたいな
店員が出てきたら、急用を思い出したので、
そのままでいいと言おうと思った。 


店長は眼鏡を作ったときのカルテを確認しながら
どこかに電話している。


非常にまずい展開だと思った。


自分は目が悪いので、折れたように
見えたと言おうと思った。


全然折れてないですねと付け加えようと思った。


時間が止まったように感じた。


店長が目の前に座った。


「チタンフレームが折れるのは
普通ではありえないことです」と言われた。


「そうですよね」と答えた。


変な汗が出てきた。


脈が抜歯するときと同じレベルまで到達した。


「保証は切れてますが、今回は特別に
新品と交換します」と言われた。


「・・・」


「はっ?」


「チタンは折れないのが売りなので、
今回は無償で交換します、
ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」
と言われた。


「今日はついてるなー」と言った。


「今は在庫がないので、早急に取り寄せます」
と言って伝票を書きながら、洗浄してくれた。


おまけに、新品の眼鏡ケースを貰った。


店の外まで二人で見送ってくれた。


同じカーペットに引っかかって
転びそうになった。


満面の笑みで「ありがとう」と言った。


時計の修理とフレーム代の出費が0だった。


こんな日もあることが分かった。 喜 キラキラ