面接の想い出 週刊実話
しばらく前の話である。
赴任先で求人のためハローワークに書類を出した。
ウブな私はどんな優秀な人が来るか楽しみにしていた。
さっそく担当者から電話があり日程を決めた。
応接室をキレイに掃除して準備を済ませた。
約束の時間から40分ぐらい過ぎた頃、
正面玄関に爆音の車が横付けされた。
長崎弁でなんじゃろかと思って見に行った。
スエット姿(パジャマ?)の大柄の男性が
自動ドアにぶつかりながら入ってきた。
なんじゃこりゃと思いながら面接の方ですかと聞いて
応接室に通した。
座って下さいという前に自主的に足を組んで座わり
携帯をいじっていた。
自主的に行動するところは素晴らしいと思った。
私がテーブルの向かい側に座り、
面接を始めようとしたが、履歴書も紹介状もない。
ポケットから小さく折りたたんだ状態で出てきた履歴書には、
学歴、職歴、趣味、長所、などは全て空白。
名前と住所だけ書いてあった。
Q お名前は?
A まさしです。
普通は名字を言うけどねと思った。
Q 年齢は?
A え~~っと。。。。
28ぐらい。。。です。
ぐらいかよと思った。
Q 志望動機は?
A はっ?先に言っときますけどね、
田植えの準備と稲刈りのときは休みますよ。
親が手伝えとうるさいから。
見事に質問に答えてるので、
脳みそは入ってないと予測し、
志望動機と言う言葉の意味を理解出来てないと思った。
Q 何日ぐらい?
A ま~え~とこ2週間づつくれ~だっぺな~。
少し舐めてないかと思った。
Q 工場で働いた経験はありますか?
A 工場で何すんのよ。。。は?。。。ですか?
俺はやるときゃやる男だとみんな言ってっから
心配ね~っつ~訳よ。
だいぶ舐めてるなーと思ったが、
もしかしたら優秀な人かも知れないと
まだ期待していた。
そのとき携帯が鳴り、切るかと思ったらすぐ出で
世間話を始めた。
しばらく待って「もうよかっぺ?ツレが下妻で待ってっから、
よろしく頼んどくかんな。。。です。」
と言って出て自主的に出て行った。
方言と敬語を混ぜて使うと、誠に聞きにくく、
赴任して間もないこともあって、
日本は広いなーと思った。
玄関前に停めた車には仲間らしき人が
2人乗っていて、楽しそうに大騒ぎしていた。
運転席の人に笑顔で「まさしさんも含めて二度と来るな、
静かに出て行け」と遠慮がちに伝え、
履歴書を更に小さく折りたたんで丁寧に返した。
その後平和な日々が訪れた。
おまけ。
こんな感じで入ってきた。