趣味の修理屋

会社の駐車場に停めている子分の車が傾いていた。

近くで見たらタイヤの空気が抜けて、
アクセサリーなのか木ネジが刺さっていた。

高級車なので、車載工具もなくスペアタイヤも
あるかどうか不明で、
タイヤ交換はしたことないと言う。

おせっかい病が発症。。。

まず、タイヤを外そうとしたが、
手が汚れるので自分の車にある
コンプレッサーを使ってみた。

車屋さんは会社から200mのところにあるので、
3分持てば、そのまま走って行けると判断した。

30分放置したが、全然抜けないので、
代理で車屋さんに持って行った。

これは人を刺すための道具。

修理代を安くしてもらうために、
油圧ジャッキで上げて貰って、
あとは工具を借りて自分でやってみた。

ちょっと接着材がはみ出たが、
多分大丈夫だろう。。。

費用は1500円だった。

利益0円。

次は、家のトイレのタンク修理。

レバーを操作しても水が流れなくなった。

緊急事態である。

フタを開けてみると、ゴム玉を引っ張る
チェーンが根元から外れていた。

近所のコメリからゴム玉を買って来た。

水の元栓を閉めないと、
噴水になってトイレが水浸しになる。

水芸をやる余裕はないので、ネジを閉めようとした。

10円玉をボールペン回しで鍛えた握力と、
自転車で鍛えた上腕二頭筋と、
衰えつつある海綿体をフルに使ったが、
錆び付いて全く動かなかった。

二硫化モリブデン入りの潤滑剤をスプレーしたが、
全く効果なし。

縁起を担いで10円玉を500円玉に交換したが、
厚すぎて溝に入らずアウト。

元横綱の千代の富士が、本当に力を出すためには、
小指の使い方が重要だと言っていたことを思い出し、
小指で回してみたがダメだった。

万策尽きて無我の境地に立ったとき、
30年前に買ったWD-40があるのを思い出した。

缶の外側は錆びているが、中身は大丈夫だろう。。。

飛び散らないように雑巾でくるみ、
一点にエネルギーを集中する
ヤシマ作戦を決行した。

使徒のコアを貫き、見事にネジが回った。

昭和の道具の素晴らしさを実感した瞬間だった。

無事に工事が終わり、ちゃんと流れるようになった。

部品代980円。

利益はおつりの20円。

本業は修理屋さんではないが、
自分でやってみないと気が済まない。。。

そのうち自分の身体の手術もするかもねと思った。