サイコロリング5 古井戸
小学生のころに毎日通った通学路にある井戸。
高度経済成長期に掘られたもの。
内部を覗くと、コンクリの枠はなく、
石垣のまま。
たまにカニがいたので、
しょんべんをちびっていた。
前は手漕ぎポンプで水をくみ上げていた。
CRC5-56を使えば、まだ動くだろうか。
いろいろあって、水神様が奉ってある。
この井戸の向かい側にある家は、
住む人の入れ替わりが激しく、
みんな破産して頭がおかしくなった。
家賃が安いので、町外から来る人がだまされて住む。
またおかしくなって出て行く。
その家に続く細い小道は、
いつも顔面の高さに天こぶの巣が幾重にもある。
役に立たない子分に、まっすぐ進めと言ったが
言うことを聞かなかった。
何かを感じたのかもしれないと思った。
世の中には、目に見えない力があることが分かった。