Thunderbirdの日記

桜梅桃李 鏡花水月

断水の恐怖 (汚い話なので上品な方は読まないで下さい)


某会社の井戸からトイレ用の水を
くみ上げるポンプの調子が悪い。


ポンプ室まで行って、再起動しても
10~15分で止まってしまう。


都会なので大便器は大半が和式である。


日本古来のウンコ座りが出来ない
若者が増えている。
つま先立ちするので、
5分で足がプルプルし始める。


私は自転車で鍛えているので、
25分は持ちこたえられる。


本気を出せば30分いけるが、
立ち上がるときに羽ばたいて
浮力を発生させる必要がある。


前置きが長くなったが、
人から聞いた話の本題に入ろう。


まずしゃがむ前に、水が出るか出ないか
確かめる必要がある。


じゃーーっと流れると、
安心して用を足せる。


~中略~


流そうとレバーを操作したときに、
微妙に手応えがなく、空振りだった。


「あっ」と小さくつぶやいた。


寒いのに左の額に汗が流れた。


気のせいだと思って、再度レバーを操作する。


手応えがない。


右の額にも汗が流れた。


このときほど、和式水洗トイレの
レバーの構造をしみじみと眺めたことはなかった。


さっきまで出たよねと優しくささやいた。


小さなレバーが愛おしかった。


心を静めて、再度操作する。


上下に動かす。

前後に動かす。

上下左右に高速で動かし、
最後は高速で回転させたが
水は一滴も出ない。


天は我を見放したかと思った。


故障が多いのでトイレの入り口に、
緊急用の水を入れたバケツがあった。


TOTOの携帯ウォシュレットで
キレイキレイして天使のように優しく、
魔王のように力強く立ち上がった。


誰か入って来て鉢合わせたら
かっこ悪いので、
耳に全神経を集中させた。


エネルギーを一点に集中させて
能力を高めることを、
エヴァンゲリオンではヤシマ作戦と名付けていた。


住んでいる地区が小島なので、
コシマ作戦と名付けた。


次々と誰か入って来て小用を足している。


やっと途切れたかと思って、
コシマ作戦で耳に全神経を
集中させる。


今だっと思って、個室のロックレバーに
手を掛けて、スライドした瞬間に
入り口のドアが開く音がした。


ロックが外れたまま、ドアをおさえ
微動だにしないで息を殺す。


敵は本能寺に有りだと思った。


つづく